初期伊万里 盃 「内なる美しさ」




今回は大傷の初期伊万里ですが、なかなかの状態の悪さです。


全体的にひしゃげていて、ひっつきを削り、何片にも割れた所は金直し、高台は銀直しをしてあります。


費用もかなりかかった筈で持主のこの盃への思い、執念を感じます。


近年では古伊万里の価格も下がり、現在なら下手をすると直し代の方が高くつくかも知れません。



日本人はお茶碗の見込に宇宙を見出し、金継ぎを景色だと言います。


こんな尋常ではない感性を備えた民族は世界中何処にも居ません、唯一無二です。


我々日本人が誇るべきものだと思います。


この盃の持ち主だった方は、酒を呑みながら「何と言う美しさ!」と頬を緩ませ眺めていたと思います。


高台は金では無く渋い銀で直してるあたり、かなりのこだわりを感じます。


骨董鑑賞とは見た目の美しさだけではなく、目に見えない「内なる美しさ」を見出し、評価し、自分の中で価値を持たせる事です。


それこそが、骨董品で遊ぶ楽しみ、醍醐味だと思います。

他人の眼は関係ありません、己一人の満足で良いのです。


                       


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