たかが蕎麦猪口 されど蕎麦猪口
3枚の写真を撮ってみました。
全て約「300年前」に造られた同じ伊万里の蕎麦猪口です。
「300年前の物」と聞いて皆さんは何を思い、考えますか?
「とりあえず、江戸時代」ですよね。
例えば、自分から10代遡ると大体300年前になります。
その時、ご先祖様は何人いるでしょうか?
自分には父親、母親がいて、その両親にも父親、母親がいて、2+4+、、、とずっと足していくと10代で何と2046人になります。
自分の後ろには1023人ずつの男女がいて自分はその先頭に存在しているのです。
一人でも別人だったらそこにいるのは今の自分では無いです。
突然ですが、現在日本人の平均寿命は83歳ですが、江戸時代の平均寿命はどれぐらいだったでしょうか。
大体30歳~40歳と言われています。
我々現代人は日々、どれほど「死」と言うものを意識し、見つめながら毎日を生きているでしょうか。
何となく「80歳位までは生きるんじゃ無いか」と幻想を抱きながら何となく必要に追われて生きていませんか。
もし、平均寿命が30歳だとしたら、あなたは今と同じ人生を送っていますか。
やりたい事があったり、現状に不満があったり、それらを我慢しながら今と同じ日常を送りますか。
稲作文化が始まった弥生時代の平均寿命は15歳、鎌倉時代で24歳です。
元々は人の寿命はとても短かかったのです。
ここまで、「300年」に関する話を2つしました。
さて「300年前に造られた蕎麦猪口」を見た時、少し見え方が変わって来ませんか。
「いきなりそんな事を言われても」ですよね。
私は美術品を観る上で何より大切なのは「感動」だと思います。
そして、その物について「学ぶ」事によりモノクロだった感動に綺麗な色が付き一段と美しく見えてきます。
「学び」とは本来は偏差値の高い、低いを測ることではなく、心を豊かにし、人生を豊かにする為のものです。
たかが蕎麦猪口は流しに置いてある蕎麦猪口です。
されど蕎麦猪口はガラスケースに入っている蕎麦猪口です。
古伊万里に興味が無い人には、ながしにある蕎麦猪口は只の食器に見え、ガラスケースに入っている蕎麦猪口は「何か良いモノ」に見えるのではないでしょうか。
目には同じ蕎麦猪口に見えるのですが、脳には違った物に見えてしまいます。
これは骨董だけの話ではなく、日常においても「そのモノ」より「周りにあるもの」を見てしまったり、一緒に見てしまう事により、そのモノの本質を見失ってしまう事は良くある事で、それが普通なのかもしれません。
では3枚の写真が全て同じ様に見えるにはどうすれば良いでしょうか。
それは、「学ぶ事」と「経験を積む事」です。
そして「揺るぎない自信を身に付ける事」です。
「プロとして当たり前に普通にモノを見る」事は以外に難しく、毎日毎日が修行の連続です。
皆さんも日常生活においてご自身の見方、見え方を一度疑ってみるのも良い事だと思います。
「絶対では無い」と認識するだけで、何か違った「モノ」に見えるかもしれませんよ。
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