オランダ デルフト窯 花鳥紋色絵瓶  17世紀末 群馬県前橋市の御客様から買取させて頂きました。

 

 

あけましておめでとう御座います、本年もよろしくお願いします。

 

こちらは昨年末に群馬県前橋市のお客様から買取りさせて頂きました17世紀末のデルフト瓶です。

デルフト陶器、特に「ブルーデルフト」は約400年の歴史があり、現在でもオランダのアイコンとしてヨーロッパはもとより多くの国で知られています。

日本おいては、茶道具として桃山の茶人が取り上げ、「煙草の花」と呼ばれるアルバレロ(薬などクリーム状の物を入れる容器)が水指に見立てられ、名品とされています。

現在とは異なり外国の情報が殆ど無く、全く見た事が無い異国の文化、焼物を始めて目にした時の感動は物凄く、それは始めて中国陶磁器を見たオランダ人も同じだったのでしょう。

1600年初頭にオランダ連合東インド会社が中国から持ち帰ったお皿や徳利等を目の前にして、其れまで錫釉陶器のマヨリカ焼しか触れた事が無かったオランダの貴族達はその完成された美しさに心を奪われてしまいました。
(ヨーロッパにおいて、マイセン窯で最初の磁器が焼かれるのは100年くらい後の事になります。)

その後、東インド会社によりオランダ国内に大量の中国磁器が運ばれ、ダッチマヨリカは瞬く間に売れなくなり、困り果てた陶工達が中国磁器を真似て制作したのがデルフトウェアの始まりなのです。


しかしオランダでは磁器を焼く為に必要な土であるカオリンが見つからず、器に白い釉薬をかけて磁器に似せる事しか出来ませんでした。


デルフトウェアは「質の悪い中国磁器のコピー、イミテーション」とも言えるのです。
 

この様な背景があり、デルフトの絵付はその時代の中国、明代、トランジショナルと言われる明末清初、清朝初期の物が殆どなのです。

今回私が買取りさせて頂きました瓶は、トランジショナル、明末清初を模倣した物になります。

この作品は白磁が青いレアな物になります、そしてもう一点、デルフトウェアにおいてはあまり黄色は使われ無いのですが、本品の絵付けは青と黄色のみで完成されています。

デルフトは柔らかい焼物の為に「甘さが味気の良さ」と評価されがちですが本品はなかなかの緊張感、堅さがありますね。

力強く張った胴からアンバランスな程に削られた長い面取の鶴首が勢いよく立ち上がり口付きがとても広く、一見不安定の様ですが全体を見ると上手くバランスが取れ、形状はギリギリの線においてまとまっています。

絵付においては鳥達には躍動感があり、顔が変なのですが、全体の印象として緊張感の漂う物となっています。

おそらく本作はとても腕の立つ陶工によるものだと推察します。

「焼物の質」と言う事では中国の磁器には及びませんが「芸術品」という事ならば、ひたすら美しいだけの中国磁器よりも陶工の感性、精神性をより感じるデルフトウェアは私の好みです。

今年も良い物をどんどん買取りして行こうと思っていますので、よろしくお願い致します。

 

 

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