グラヴィール風車図 ワイングラス 1730年 Sotheby’s FRITS PHILPS(フィリップス)コレクション

本日ご紹介する2点は、2006年12月4日、5日にオランダ、アイントホーフェンで行われた、 Sotheby’s 「FRITS PHILIPS COLLECTION」にて落札した品です。

PHILIPS はFIFA ワールドカップの公式スポンサーを務めるなど、世界的に有名な大企業です。

日本では電気シェーバーで有名ですね。

FRITS PHILIPS氏は創業者一族の一人で、FRITS氏が亡くなられた後に彼のコレクションがSotheby’sのオークションにかけられました。

コレクションは陶磁器、絵画、銀製品、家具、庭の彫像等多岐にわたり、2日間で1048点にのぼりました。

彼の所有していた名品を落札しようとヨーロッパ中から多くのコレクターやアンティーク ディーラーが集まったようです。

運良く、1048点のうちの2点を私が手に入れることが出来ました。

1つは風車が彫られたベル型のグラヴィールワイングラスです。

少し小さいので食前酒用にも使えるとお思いますが、ベル型の物はワイングラスと言います。

持ち手は空気が入り「hollow baluster stem」と言います。

1730年頃の古い手になり、とても良く出来ています。

もう1つは同じベル型ですが持ち手に美しい白色ツイストの装飾が施されています。

このstem の装飾はヨーロッパにおいてはポピュラーな物です。1770年頃の物です。

1700年代は日本で言うと江戸時代になります。

日本には江戸ガラス、薩摩切子と言った素晴らしいガラス製品があります。

一級品の物に関してはガラスの質、形成の技術などヨーロッパのガラスに比べ優れていると思いますが、装飾性に関しては及ばないと感じてしまいます。

西洋はセンターの文化であり、自己演出、自己PRがとても優れ日本の物より遥かに存在感、オーラの様なものが強いです。

一方日本の物は自己演出があまり上手くはなく、それは古美術品だけでは無く、現代の日本人に於いても同じ事が言えると思います。
 
日本は島国ですから、無意識に平等を求め、突出した人物、物を素直に認めたがらないところがあるのだと思います。

グラスの違いを比べると、文化とか感性はその国の風土の影響を受け、300年経ってもあまり変わらないんだなぁと改めて気付かされました。

通常、古美術品は誰が所有していたかは分からないのですが、この2点は所有者が分かっていて、その方が有名なコレクターだと言うのは何となく嬉しいものです。

以前にも書きましたが、「個性は感性」です。

その人のコレクションを数点観れば、その方の人となりが観えて来ます。

2点のグラスを通じて PHILIPS氏の感性に触れられてとても良い気分に成りました。

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