シルバーオーバーレイ　リキュールセット　アール・ヌーヴォー期

明けましておめでとう御座います。

本年も宜しくお願い致します。

新年らしく鮮やかで美しいヴェネチアングラス のリキュールセットを紹介します。

一般的にヴェネチアングラス と言えば、赤、青、黄色 等々のガラスに金彩やレースで華やかな装飾を施した作品を想像されると思いますが、本品はアール・ヌーヴォーの一時期に作成された「シルバーオーバーレイ」と言う技術を用いたとても珍しいお品になります。

ヴェネチアングラス の歴史はハッキリとしていない部分もあるのですが、おおよそ7~8世紀頃には技術的に確立され、職人達は製法の秘密を守る為に家族共々、ムラーノ島に強制的に移住させられました。

現在は観光客で賑う島もその様な暗い過去があり、現代の様な人権などという観念が無かったのでしょう。

15~16世紀にはヴェネチアングラス は頂点を迎えて遠くフランスのヴェルサイユ宮殿の内装にも使用されました。

鉛を含まないソーダガラスというもので、中空で吹くことにより、とても薄く製作する事が出来るのです。

その繊細な印象が、特に女性には好まれます。

先日ご紹介しました鉛を多く含んだガッチリとしたボヘミアンガラスはその雰囲気から男性の好む方が多いですね。

本品はガラスのボディに銀が貼られているのですが、これはシルバーオーバーレイと言う技術で電動のローラーで少しずつ貼って行くのですが、これはかなりの熟練が必要な高度な技術になります。

したがって、ちょっとした文様の小物はあるのですが、本品のような手の混んだ大作は中々見当たらないです。

ボトルには、ヴェネチアのサン・マルコ寺院とヴェネチアの象徴である、「翼のある獅子」が貼られています。

グラス にはアール・ヌーヴォーの象徴とも言えるモチーフの草花を貼り華やかさを演出しています。

アール・ヌーヴォーとは「新しい芸術」と言う意味で、それまで美術界を覆っていた古典的な概念を打ち破り、閉塞感を打破して新しい物を生み出そうとする、とてもエネルギッシュでエキサイトな一時期の運動の事を言います。

その思想哲学、自由を求める時代の精神が、たった1本のラインにも現れています。

それこそが芸術なのです。

この「萌える」様なラインがアール・ヌーヴォーと言えるのです。

芸術、美術、とは本当に奥が深い物だと常々感じています。

流行りの物を追いかけるのも良いと思いますが、私自身は【本当に美しいモノ】に対するこだわりがあるからこそ、まったく飽きる事がありません。これからも「魅力あるモノ」を発掘して、1点でも多く世に送り出していきたいと思っております。

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